講演会「就労に向けて」

  • 2019.06.09 Sunday
  • 23:59

 

6月9日(日)、三茶しゃれなあどホールに世田谷区立障害者就労支援センター・スキップの

西村周治施設長をお迎えし、「就労へ向けて」をテーマに講演会をお願いいたしました。

ぐずつく天気の中でも、60余名と多くの会員が集まり、大変有意義な会となりました。

 

テーマ:就労に向けて 〜豊かな生活を送るために必要なこと〜

 

【学齢期における働く機会】

学齢期は、就職などまだまだ先のことと考えがちですが、『はたらく』ということは

何も就業に限らず、生活の中での役割分担と考えるとわかりやすいでしょう。

集団の中で役割を果たすことの効果は大きく、責任感や自己肯定感を育てることにも繋がります。

具体的には、家庭内でも役割を与え(お手伝い)、それを責任を持って果たしてもらう、

なおかつ『やってくれてありがとう』『助かったよ』などと感謝の言葉をかけることで、

本人の中で自己有用感が育つと、こういうことです。

こうして就職前からでもお手伝い等を通して『はたらく』と言うことが身についていくのです。

 

そして、できれば気まぐれにお手伝いを頼むよりは、ルーティンとして、

『君の役割は夕食後にお皿洗いをすることだよ』などと、

必ずその仕事を果たしてもらうようにすることがポイントです。

『役割』『ポジション』を与えることにより、自信を持ってもらうことが大切なんです。

 

中学校などに進学しますと、職業体験の授業があります。

場合によってはほとんどお客さんとしてしか扱われなかったと言うこともあるようですが、

大切なのは、どんな職業があり、本人がどんなジャンルの職業に関心が持てるかで、

そのあたりを知るには良い機会だと思います。

高等部に進みますと、より実際に近く、作業学習や現場実習などがなされます。

いよいよ本格的に『はたらく』と言うことを考える段階に入ります。

 

【進路選択における考え方】

障害のある人の主なあり方として、3つの選択肢があります。

一つめは一般就労。事務所や工場、倉庫やお店など、企業に就職する方法。

二つめは福祉的就労。就労継続支援A型、就労継続支援B型、移行支援があります。

三つめは福祉施設の利用。自立訓練や生活介護、福祉作業所などの施設入所。

 

学校卒業後の進路に対する考え方として、重要なポイントは

●自分に合っている職場(環境)か?

●所属する組織から必要とされているか?

の二点が挙げられます。

実は、一般就労が良くて福祉的就労は劣る、などと一概には言えません。

 

平成30年度に、障害者の法定雇用率が引き上げになりました。

それに伴う障害者雇用水増し問題も記憶に新しいと思います。

このようなことがあったため、一般企業は何とかして障害者を確保したいと思っています。

ある意味、売り手市場なのです。

しかし、企業側も障害のある人にどのように働いてもらえば良いかわからず

とにかくデスクに座ってインターネットの閲覧をしていてくれれば良いから」などと言うケースもあります。

雇用はされても、本当の居場所があるかどうか?必要とされているかどうか、

仕事の質を調べる必要があります。

福祉的就労でも、本人にとっては非常にやりがいのある仕事かもしれない。

つまりは何がなんでも企業就労と考えるのは危険かもしれませんね

 

さて、以上を踏まえ、適切な進路選択とは何かと言うと、

自分にとって必要な条件を考えた上で、その条件に合う職場を探すと言うことです。

自分に合う業種・業界か?本人にとって関心のある業種かどうかは、とても大切なことです。

また、労働時間や休日、賃金、所在地、通勤方法など、条件をあげればきりがないでしょう。

しかし全ての条件に合う職場は、当然ながらありません。

そんな都合の良い職場が見つかるほうが珍しい。

ですから、本人にとって何が譲れず、どこまでなら譲歩できるか。

この辺りが進路選択で重要になる部分です。

 

そして、この『条件』と言うものは、将来変わることを念頭におくことです。

今の生活が5年、10年先まで続くとは言えません。

生活状況や精神状況、職業の能力や経験値など、今と全く同じはずがありません。

ですから、求める条件が変わった時には、転職も視野に入れる必要も出てくるでしょう。

変わると言うことを恐れないで欲しいです。

 

それでは逆に、企業に求められる人材とはどのようなものでしょうか。

企業側の本音としては仕事の能力よりも、身だしなみや、一人で通勤できるか、

食事を自分でとれるか?周囲との人間関係はスムーズか?などが気になるそうです。

このようにお話しすると、「うちは自立できている」とおっしゃる方が多いですが、

ADL(日常生活動作=着替え、身だしなみ、排泄など)や

IADL(手段的日常生活動作=買い物、洗濯、金銭管理など)だけではなく、

VADL(職業的日常生活動作)もとても重要だと考えています。

家庭では自立しているようでも、社会の中での振る舞いという意味では課題が残されているケースがあります。

例えば昼食弁当の選択や、トイレ内でのマナーなどは、ちゃんとできているでしょうか。

 

また、実際に就労してからも大切なこととして、発信できる人になるということ。

要は、「わからない」「困った」を伝えられるようになるということです。

しかし、「わからない」「困った」は、少しネガティブな言葉ですよね。

障害のある人の中には、プライドもあり、なかなか困ったを伝えられない方がいらっしゃいます

「どうしたらいいですか?」「教えてください」「お願いします」と伝えましょう、

と、指導したところ、改善されたケースもありました。

日頃から伝えられる力を養うことが重要ですね。

 

働くにあたって有効なのは、他に、ロールモデルを見つけ、将来像を描くことも良いです。

働く先輩の姿を見ることで、イメージが描きやすくなります。

そして、目標達成の喜びを知ること。

目標を定め→達成に必要な計画を立て→実行→結果を出す、と、こういう繰り返しが大切です。

もちろん、「頑張ったから結果は仕方がないよ」という考え方もありますが、

働くということは、やはり結果を出すことが重要ですし、自己肯定感や有用感にも繋がります。

本人にとって適切な目標を立てることがポイントですね。

 

人間、生活していれば、働いていれば『ストレスゼロ』ということはありえません。

そこで障害物をなるべく避けて生きる、という方法もあるでしょうが、

それよりはレジリエンス(回復力・防御力)を高めることが重要だと考えています。

失敗しても、挫折しても立ち直る力。

これを育てるのには、やはり自己肯定感、自尊感情が鍵を握っていると思います。

物事への適応力や、安定した人間関係、打ち込める趣味や余暇があるのも大切ですね。

 

【保護者の心構え】

今の生活が、今後もずっと続くことはあり得ません。

だからこそ、いざという時への準備をしておいてください。

生活の維持という意味での、ホームヘルプサービスの利用。

緊急時への備えという意味で、短期入所などの利用。

住まう場所の確保として、グループホームの利用。

などなどを、今のうちからシミュレーション・計画を立てておいて欲しいと思います。

 

そして、『はたらく人を育てる』という意識を持ち、保護者の方々には

1)『聴く』スキルを身につける

聴く、とは漢字をバラバラにすると、耳+目に、心から成り立っていることがわかります。

つまり、しっかりと見て、耳で聞き、心で受け止めることが必要なのです。

ー容的な構えで聴く

∀辰垢っかけを与える

O誕蠅亡慙△靴深遡笋鬚垢

 

2)「伝える」スキルを身につける

‥舛┐覆韻譴个覆蕕覆ぞ霾鵑牢蕎陲叛擇衫イ

¬堆如∈い辰燭隼廚辰浸は、丁寧にその内容(理由)を伝える

質問する時はその意図を明確に伝える

ぜ分だったらこうするのに、を前提としない

 

3)アンガーマネージメント

どうしても怒りを感じることもあるかも知れません。

しかし、怒りの感情(アドレナリン)は6秒で静まるというデータがあります。

ですから、6秒我慢してみます。

深呼吸。(4秒吸って6秒吐く)

考えるのを一旦やめる。

その場から離れる。

「大丈夫」「誰も悪くない」「落ち着いて」などと、自分に言い聞かせる。

 

最後に簡単なワーク(褒められ言葉を20個リストアップ)をして褒められ指数を判定しました。

褒められ上手は自尊感情が高い。

障害者の就労に向けての講演会でしたが、障害者に限らず、

ほとんどの人の働くにあたっての心構えを教えていただいた気がします。

褒められ上手は褒め上手。皆さん、褒め上手になりましょう。

 

 

 

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